中国人との国際結婚の手続き
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*中国人国際結婚手続き5

Q:日本人と中国人とが、日本で創設的に国際結婚する場合(日本を国際結婚の婚姻挙行地とする場合)と、中国で創設的に国際結婚する場合(中国を国際結婚の婚姻挙行地とする場合)とで、当事者の国際結婚の「実質的成立要件」(法例13条1項)と「形式的成立要件」(国際結婚の方式。法例13条2項、3項)は、いずれの国の法律によるでしょうか。国際私法の解釈を教えて下さい。
A:日本法の国際私法である法例は「法例」という名称の「法律」である。法例13条はこの国際結婚の際の実質的成立要件と形式的成立要件の準拠法を規定している。それによれば、「婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム」(13条1項)から、実質的成立要件は各当事者の本国法に拠ることになる。他方、形式的成立要件(方式の問題)は、「婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル」(2項)、「当事者ノ一方ノ本国法ニ依リタル方式ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ有効トス但日本ニ於テ婚姻ヲ挙行シタル場合ニ於テ当事者ノ一方ガ日本人ナルトキハ此限ニ在ラズ」(3項)から、結局、日本を国際結婚の婚姻挙行地とし、当事者の一方が日本人であるときは、13条2項により、「婚姻挙行地ノ法律」、すなわち、日本法に拠ることになる。
 以上によれば、日本法の解釈では、国際結婚の婚姻挙行地が中国であるときはもちろん、日本であるときでも、中国人の実質的成立要件「だけ」は、中国法に拠る(法例13条1項)ことになるようにもみえる(なお、形式的成立要件、つまり方式は法例32条に関わらず、中国人側も日本法に拠らねばならない。)。しかし、法例32条は、「当事者ノ本国法ニ依ルヘキ場合ニ於テ其国ノ法律ニ従ヒ日本ノ法律ニ依ルヘキトキハ日本ノ法律ニ依ル」と規定するところ、「其国ノ法律」に該当するところの中華人民共和国民法通則147条は「中華人民共和国公民と外国人の婚姻には、婚姻締結地の法律を適用・・・する。」(渉外身分関係先例判例総覧・法令編)とあるので、「婚姻締結地」であるところの「日本ノ法律」に拠るべきときであることになる。なお、この理は、仮に国際結婚のその時点で物理的に中国人側が中国に在っても、日本の市区町村に国際結婚の届出をする場合には、国際結婚の婚姻挙行地は日本と「解釈」され、妥当するが、現在の市販の公刊物は旧解釈ないし通達時の説明のままの文献が多いので、注意されたい(平成14年8月8日付け法務省民一第1885号民事第一課長通知、中国政府公式見解。)。渉外家事法は、研究者等の層も薄く、体系書等はこの種の急な変動には対応できず、最新の情報を得るには、法律雑誌が中心になる。
なお参考までにいえば、中国人(外国人)と日本人の「創設的」な国際結婚届を、中国(外国)に在る日本の在外公館に届出ることはできない(日本人同士なら可能。レジストラ111・81)。よく誤解されているが、その場面での在外公館でできるのは「報告的」な国際結婚届であるに過ぎない。(レジストラ111・364、岩井伸晃著「中国家族法と関係諸制度」44頁)

以上「等」をまとめると、以下のようになる(なお、「戸籍」745・59、同770・79)。これを通常人に理解せよというのは無理であろう。法はエンジニア的というか、法技術的な側面もあるので、やむを得ない。ただ、最近インターネット上に安易な解説が目立つので、警鐘を鳴らす意味で、書いておく意義はあろう。しかし、実務家のどのくらいがこういうことを意識しているのであろうか。

[中国法の視点ないし成立要件] 試論

 

日本で国際結婚(婚姻挙行地)*1

中国で国際結婚(婚姻挙行地)*1

日本人の実質的成立要件

日本法(法例131項、中華人民共和国民法通則147条。

中国法(挙行地法になり、中華人民共和国民法通則147条の帰結と思われる。)

日本人の形式的成立要件(国際結婚の方式)

日本法(法例132項、3項、中華人民共和国民法通則147条。147条は方式面も射程と解しうる。2

中国(同上)

中国人の実質的成立要件

日本法(反致。法例131項、32条、中華人民共和国民法通則147条。)3

中国法(同上)

中国人の形式的成立要件(国際結婚の方式)

日本法(法例132項、3項。中華人民共和国民法通則147条。147条は方式面も射程と解しうる。2

中国(同上)


[注]現時点の解釈である。

*1 岩井伸晃著「中国家族法と関係諸制度」46頁、加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」498頁も参照のこと。なお、これらの文献は、大変参考にはなるが、平成14年8月8日付け法務省民一第1885号民事第一課長通知が反映される前の内容なので注意。

*2 このこと、つまり方式面につき日本法を準拠法にするということの意味は、国際結婚の婚姻挙行地が日本という前提のときに、日本法の方式(戸籍法の手続をいう。)以外の方式、たとえば、「日本にある大使館や領事館」に国際結婚の届出を創設的に出しても(いわゆる領事婚。但し、中国の場合、元々、在日中国公館にて、日本人と中国人の領事婚はできない<通説>。なお、婚姻登記条例19条参照のこと。)、日本政府は創設的届出としては有効と認めず、したがって、日本の市区町村では、そのような経緯で在日外国公館から発行された国際結婚に係る証明書をもって「報告的」な国際結婚の届出を受理することはできない、という意味合いになる(但し、その場合でも市区町村で「創設的」な国際結婚の届出は可能で、在日外国公館から発行された国際結婚に係る証明書が婚姻要件具備証明書の代用をなす場合があるので、混同に注意されたい。「報告的」な国際結婚の届出ならば、署名は単独でよいし、成年の証人も不要である。何らかの事情で先に日本で国際結婚の届出ができない場合は、先に外国で成立させればよいことになる。レジストラ111・199。)。同様の趣旨で、国際結婚の婚姻挙行地が日本という前提のときに、日本にある教会等で創設的にで国際結婚の届出をしても、たとえ、その種の教会婚を認容する外国だったとしても、日本政府は「創設的」な国際結婚の届出としては有効と認めない。
 もっとも、国際結婚の婚姻挙行地が日本なのか外国なのか、それ自体が不明確な場合がある。たとえば、物理的に日本に日本人と外国人が在るとする。この状態で日本人が外国所定の国際結婚の届書ないし申請書の類に署名をし、国際郵便で相手方の国へ送り、その国で「創設的」な国際結婚の届出ないし登録ないし登記を有効にしたとする(なお、中国の場合、本人出頭主義のため、これは出来ない。)。これは日本法上、有効か、という問題。現在(日本の法例の改正後)の実務解釈では、無効である。理由は、その場合の法例13条2項3項の「婚姻挙行地」は、日本であると「解釈」するためである(レジストラ111・89)。
 このように渉外婚姻(国際結婚の手続)は国際結婚のの婚姻挙行地がどちらの国なのかの区別が重要である(奥田安弘他著「フィリピン家族法」26頁)。
 それでは、物理的に外国に外国人が在り、日本に日本人が在って、この状態で日本人が外国所定の婚姻届書ないし申請書の類に署名をし、国際郵便で相手方の国へ送り、その国で「創設的な」国際結婚の届出ないし登録ないし登記を有効にした場合はどうか(なお、中国の場合、双方出頭主義のため、これは出来ない。)。明言した文献に乏しいが、「婚姻すべき当事者の一人が」外国「に存在し、かつ」、外国にある政府機関「に婚姻届を提出しているので」、当該外国「が婚姻挙行地」とみるのが相当と解するべきであろう(参考、レジストラ111・68下段)。したがって、当該国際結婚は有効と解される。実質的にも、これのまさに逆の場面で中国政府が有効に解したのが平成14年8月8日付け法務省民一第1885号民事第一課長通知であると考えられ、相互主義的見地からも有効と解するべきである。

*3 反致して日本法が準拠法になった場合でも、いとこ同士の国際結婚(日本法が準拠法なら有効。)は、中国法の「公序」で無効になるとの「学説」があるが(レジストラ111・163)、中国人研究者の発言(戸籍時報562・86以下)からすると、中国法で公序則で排除されるかどうかは非常に流動的であって、そのような断定的な考え方は、危険である。日本法でも公序則の発動は価値判断を伴い、多くは謙抑的である。国際私法の難しさを感じる。私見では、公序則では排除されないと解するべきであるし、仮に排除されるとしても、排除されるかどうかは事後的事情であって、事前に予想しえないから、そのような予見可能性を害し、判断困難な基準は採用しえず、日本の市区町村は、あくまで日本法が、中国人についても実質的成立要件の準拠法であるとして、国際結婚の届出を受理するべきである。なお、昭和57年9月17日付け法務省民二第5700号第2課長通知では、年齢につき、日本法を準拠法として有効と解したのが中国政府の見解であった(当時は民法通則147条は施行されていなかったが、中国の公序則に反するとも解していない。そして公序の概念は流動的である。)。

[日本法の視点ないし成立要件]  試論

 

日本で国際結婚(婚姻挙行地)

中国で国際結婚(婚姻挙行地)

日本人の実質的成立要件

日本法(法例131項)

日本(法例131項)。したがって、中国で有効に成立しても、日本法で瑕疵が存する場合もあり得る(例、待婚期間違反。)。

日本人の形式的成立要件(国際結婚の方式)

日本法(法例132項、3項)

中国法(法例132項、3項)

中国人の実質的成立要件

日本法(反致。法例131項、32条、中華人民共和国民法通則147条。)

中国法(法例131項)

中国人の形式的成立要件(国際結婚の方式)

日本法(法例132項、3項。中華人民共和国民法通則147条。)

中国法(法例1323


[注]現時点の解釈である。

[法例](参考)
第十三条 婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム
2 婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル
3 当事者ノ一方ノ本国法ニ依リタル方式ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ有効トス但日本ニ於テ婚姻ヲ挙行シタル場合ニ於テ当事者ノ一方ガ日本人ナルトキハ此限ニ在ラズ

第三十二条 当事者ノ本国法ニ依ルヘキ場合ニ於テ其国ノ法律ニ従ヒ日本ノ法律ニ依ルヘキトキハ日本ノ法律ニ依ル但第十四条(第十五条第一項及ビ第十六条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第二十一条ノ規定ニ依リ当事者ノ本国法ニ依ルベキ場合ハ此限ニ在ラズ
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