中国人との国際結婚の手続き
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*中国人国際結婚手続き3

Q:中国で日本人と中国人が中国法で創設的に国際結婚の手続をする場合の「書類」について、以前の手続と近時の手続とを比較し、かつ、日本での日本法で日本人と中国人が創設的に国際結婚の手続をする場合の「書類」の場合と比較して下さい。(試論)
A:

 

中国法の以前の国際結婚の書類

中国法の近時の国際結婚の書類

日本法の国際結婚の書類

戸口証明(戸口簿)*1

有(結婚登記「管理」条例911号)。なお、以下「管理条例」という。

有(「戸口簿」。結婚登記条例511号)

中国人については不要。日本人については本籍地以外に出すときは戸籍謄本。

居民身分証*1

有(管理条例912号)

有(「身分証」。結婚登記条例511号)

中国人については不要(外国人登録証明書も法的には不要。)。日本人については運転免許証等。

勤務先等発行の結婚状況証明(一種の婚姻要件具備証明と解される。)

有(管理条例913号)[]これは中国人側の事項であることに注意。

無(このことが重要な法改正事項の一つとされる。)。[]これは中国人側の事項であることに注意。

婚姻要件具備証明書の意味では必要であるが、それは勤務先等が発行するようなものではなく、通例、在日中国大使館が発行する。なお、日本人側は戸籍で判断できる。

本人が配偶者を有せず、かつ相手方当事者との間に直系血族および「4親等」(「三代」のこと。)以内の傍系血族関係を有しないことの署名入り申告。

有(婚姻登記条例512号)。「勤務先等発行の結婚状況証明」の代替として導入されたと解される。

無(そのような概念は無い。但し、日本法の「申述書」の概念はこれに近く、比較法的に興味深い。)。

離婚を証する書類(離婚証又は離婚裁判の判決書等)

管理条例92項)

婚姻登記条例には明文なし。婚姻登記条例512で代用か。但し、地方による「上乗せ規制」を認容するかは明文では明確ではない(婚姻登記条例32項は、「その他の義務を付加してはならない」とする。)。

中国人については具備証明書があれば不要。無いときは、離婚公証書の類があるほうが望ましい。日本人については本籍地以外に出すときでも(日本の役所に対しては)戸籍謄本で足りる。

外国人側につき、配偶者と死別したときはその証明書(日本の制度では「死亡届受理証明書」や「死亡届書記載事項証明書」が該当する。)。

管理条例913号は、死別の証明も含むので、これを外国人に適用する場合、要件具備証明書以外に、別途、証明書が必要という解釈があり得たと解される。

婚姻登記条例には明文なし。婚姻登記条例512号で代用か。但し、地方による「上乗せ規制」を認容するかは明文では明確ではない(婚姻登記条例32項は、「その他の義務を付加してはならない」とする。)。

日本での国際結婚の手続では、死別したことは戸籍で分かることであり、通例、問題にならない。

婚前健康診断証明

管理条例93項)

無(任意)。但し、地方による「上乗せ規制」を認容するかは明文では明確ではない(婚姻登記条例32項は、「その他の義務を付加してはならない」とする。)。

日本での国際結婚の手続では、健康状態は婚姻の要件ではなく、通例、問題にならない。

外国人側の旅券等の身分証明書

有(外国人婚姻登記通知3条)

有(婚姻登記条例541号)

原則、有

外国人側の国籍証明書

有(外国人婚姻登記通知3条)。旅券で代用可と解される。

婚姻登記条例541号で充足と解される。

旅券が無いときは、基本的に必要(な場合が多い。)。他の文書で国籍が証明されれば不要。

公安機関又は外事部門の発行する、外国人側の入国・居留に関する証明書(外国人居留証又は外事部門交付に係る身分証又は臨時入国・居留証)

有(外国人婚姻登記通知3条)

婚姻登記条例には明文なし。

パラレル的にいえば、外国人登録証明書も在留資格も、国際結婚の手続には、法的には不要。

外国人側の本国の公証機関の作成・交付する婚姻状況証明書(日本法でいう婚姻要件具備証明書のこと)*2

有(外国人婚姻登記通知3条)

有(婚姻登記条例542号)。但し、文言は若干異なるものの、趣旨は同旨。

原則、有。

在職証明書

有(地域の特別法に拠る)

地方による「上乗せ規制」を認容するかは明文では明確ではない(婚姻登記条例32項は、「その他の義務を付加してはならない」とする。)。

無(なお、入管の申請では以前は必要書類扱いだったが、その後、原則、任意書類になっている。)

資力証明書(所得税納税証明書、住民税課税ないし納税証明書、源泉徴収票等)

有(地域の特別法に拠る)

地方による「上乗せ規制」を認容するかは明文では明確ではない(婚姻登記条例32項は、「その他の義務を付加してはならない」とする。)。

無(入管の申請では有)

当事者の証明写真

婚姻登記条例には明文ないが、必要とされる(在上海日本国総領事館等)。

日本での国際結婚の手続では、通例、問題にならない。

外国人側の出生証明書(出生公証書)

特に要件具備証明書がないときは、望ましい。しかし必須ではないので注意。

外国人側の独身証明書(未婚公証書等)

日本人が中国で国際結婚の手続をする場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは、まず無いので問題にならない。

同左。

中国人が日本で国際結婚の手続をする場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは頻繁にあるので問題になり、代替物として基本的に必要。

外国語の翻訳文*3

婚姻登記管理機関が紹介する翻訳機関で翻訳。但し、日本の公文書の場合、訳文は要らないとされる場合もある。

同左、同旨。

翻訳者に指定は無いが、常に要求される(戸籍法施行規則63条の2)。但し、必須書類でない出生証明書の類はネゴで不要になり得る。

申述書

日本法独自の概念で中国での国際結婚の手続では、通例、問題にならない。

同左

要件具備証明書が出ないときに用いるのが原則。

日本人側の住民票

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも日本に住んでいない日本人もいるのである。

同左。婚姻登記条例には明文なし。

国際結婚の手続には通例は不要(入管での日配の申請には通例、必要。)。

日本人側の戸籍謄本

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも戸籍に匹敵する制度は、国際的には無い国が普通である。戸籍に準じる制度があるという国は多くなく、多くの国は出生証明書程度しかない。

同左。婚姻登記条例には明文なし。そもそも婚姻登記条例は日本人だけ考えているわけではない。日本人を含めたあらゆる「外国人」を射程にしているのである。

出生証明書については、上記参照。

当事者の履歴や国際結婚の経緯の説明書等の実体を証する書類の類

中国での国際結婚の手続では、通例、問題にならない。

中国での国際結婚の手続では、通例、問題にならない。ちなみに国によっては、国際結婚するのに、その国の公務員との面接が必要になり、「国際結婚が不許可」になるような国も実在する。

日本での国際結婚の手続では、通例、問題にならない。但し、受理照会事案では、請願書やスナップ写真等の情状資料や実体に係る資料を「法務局」に(自主的に)出すような事案はあり得る。なお、入国管理局で要るのは無論である。


(全体につき、岩井伸晃著「中国家族法と関係諸制度」41頁以下、加藤美穂子著「詳解中国結婚・離婚法」70頁以下、「戸籍」562号、114頁以下。)

[注]
上記の表の「外国人」は当該国の法令にとっての外国人をいう。したがって、中国で中国法で国際結婚の手続をする場合の外国人とは日本人をいい、日本で日本法で国際結婚の手続をする場合の外国人とは中国人をいう。
[注]
本表は、国際結婚の手続のうち、国際結婚の登記ないし国際結婚の届出の場面のみを想定しており、その前段階とも言える「婚姻要件具備証明書」(これは中国人側は中国の政府機関から発行、日本人側は日本の政府機関から発行されるもので両者の区別に注意。)の発行のための書類は、混乱を防ぐため、基本的に射程に入れていない。
[注]
渉外婚姻(国際結婚の手続)ないし渉外身分法の一般原則として、A国の本国政府へB国の公文書を提出する場合、B国の外務省の認証を取り付けたうえで、B国の在B国A国大使館(領事部)の認証も付けないと、A国本国では当該公文書を受付しない場面がしばしば存する。日本国内での扱いは別として、海外ではそういう国が原則だと考えてなるべく認証する趣旨で準備しておいたほうがよく、これは中国でも当てはまる。では日本はどうか。建前は別として、日本の戸籍当局にせよ、入管にせよ、外国政府発行の文書に関しては、このような意味の認証の要否については、頗る「弾力的」である。ただ、入管についていえば、「認証」があっても濫りに信用しないという実質本位と思われる。
[注]
中国で日本人が国際結婚の手続をする場合、しばしば意味不明な資料を要求されたという話を聞くが、婚姻登記管理条例であれ、婚姻登記条例であれ、法文はそんなに煩雑なことは要求していないのに、何故か、戸籍官吏に運用させると、煩雑な運用がなされ、あれこれと不要な書類を要求する傾向にあるのは、おそらく、「日中共通」である。したがって、もし、中国で意味不明な資料を要求された場合、本当に必要なのか、疑う価値がある。また賄賂目当てに不要な書類を要求する場合もないとはいえず、中国での国際結婚の手続には困難が生じる場合もあるが、逆に日本で国際結婚の手続をする場合のほうが、中国で国際結婚の手続をする場合よりも、かえって困難な場合もあり、一概には言えない。建前と現実が乖離し、一般には、多めに資料を用意するしかないであろう。日本で国際結婚する場合も、資料は多めに用意しておくのが定石なのである。中国の婚姻登記管理条例(旧法)8条2項には「婚姻登記管理機関は・・・本条例の規定する以外のその他の書類及び証明を要求してはならない。」と明文で規定してあったが、これはそれだけ不要な書類をあれこれと要求する事態が頻出したからだと思われる。そして、この旧条例8条2項は新条例3条2項に発展的に継承されていると解される。けだし、新条例の趣旨は簡素化だからである。
 なお以上のような状況のため、日本の実務書でもインターネットでも、何が必要な書類かが混乱しているのが現状である。実務書も加除式程度のものは悉く見てはみたが、今回、自分で細かく調べたあとに、いくつかの実務書を見たところ、書いている人もよく分からないまま国際結婚の手続を書いている本が複数あることを発見したりもした。当サイトはここまで細かく分析した者は前例がないであろうと思われるほどに分析を試みてはみたが、なお読者の公正な批評を賜りたい。


*1 中国では、身分証明としては「戸口簿(ここうぼ)、居民身分証、個人ファイルに基づく証明書の3つがある」とされる(新版外国人犯罪捜査36頁)。しかし、たとえば「戸口簿」は地元の公安局が管理しているが、汚職の蔓延により信用できないというのが日本の捜査当局や入管の「通説」である。この点、よく入管をパスしたので、自分の妻や夫に問題が無くてよかったなどと考える向きも多いようであるが、実務の実態はそのような認識とは少しズレている場合があり、どこの誰だか不明な者と国際結婚の手続をしている場合も多い。永住許可されてから氏名が別人だったと露見した例さえ多数存する。

*2 日本政府側が発行する婚姻要件具備証明書には、市区町村発行のもの、法務局発行のもの、在外公館発行のもの、と種類がある。日本法では、どれも法的には国際結婚の手続の資料として有効であるが、外国政府がどれを認容するのかは別論であって、曰く「中国の場合には,法務局又は地方法務局及びその支局で発行したものでなければ,認めていない。」との見解が存する(東京法務局民事行政部戸籍課)。他方、外務省の在外公館はそうは解していないようである。しかし、これもまた中国政府は、その回答の時期・地域・機関・たまたま担当した登記官個人等で変動するのではないかと思われるのである。
なお、これに対し、日本法の手続においては、ある外国政府発行の「婚姻要件具備証明書」(その呼称は重要ではなく、文書の標題は、国により様々である。)が、在日大使館発行なのか、本国の法務省の類が発行なのか、市区町村が発行なのか、それ自体が決定的なのではない。一般には、在日の外国公館発行のものを用意する類型が多いだけのことである。但し、国際結婚の手続において、「婚姻要件具備証明書」として認容するか否かは、日本でも一定の先例が存し、認めないものと認めるものとが存在することも否定できない。もっとも、具備証明書を発行する国ばかりではないわけで、その種のものを発行するだけマシだと解するのが相当である。通説的には、戸籍官吏は「外形理論」的発想により形式的審査権限に制約されるとされるが、究極の場合、全く資料のないに等しい案件を、形式的という建前を維持しながら実質的に審査しなければならない。

*3 戸籍法施行規則63条の2「届書に添付する書類その他市町村長に提出する書類で外国語によつて作成されたものについては、翻訳者を明らかにした訳文を添付しなければならない。」
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