ロシア人との国際結婚の手続
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*ロシア人国際結婚手続き3

Q:ロシアで日本人とロシア人がロシア法で創設的に婚姻する場合の「書類」(等)と、日本での日本法で日本人とロシア人が創設的婚姻届する場合の「書類」(等)の場合と比較して下さい。(試論)2005Aug19
A:先に中国法等との比較も行っている関係から、できるだけ、それらとの対比で使用した体裁を転用してみた。

 

ロシアで日本人とロシア人がロシア法で創設的に婚姻する場合の「書類」

日本で日本人とロシア人が日本法で創設的に婚姻する場合の「書類」

旅券(ロシア人の場合、国内旅券と海外旅券)*1

1

ロシア人については本来は、市区町村の場面では、必須ではない(在日ロシア大使館から具備証明書を得るときは必要。)。外国人登録証明書も法的には不要。日本人については本籍地以外に出すときは、通例、戸籍謄本。また、日本人については運転免許証等。

前婚解消を証する書類(配偶者の死亡証明書、離婚裁判の判決書等)*2

必要な場合がある。なお、ちなみに、死別の場合の証明書は、日本の戸籍法制度では「死亡届受理証明書」や「死亡届(書)記載事項証明書」が該当する。*2

ロシア人については婚姻要件具備証明書があれば不要。無いときは、「前婚解消を証する書類」等の身分関係の実体を証する書類は、これに限らず、「あるほうが望ましい」。なお、日本人については本籍地以外に出すときでも(日本の役所に対しては)、通例、戸籍謄本で足りる。

婚前健康診断証明

ロシア家族法の明文では無。

外国人側の国籍証明書*3

基本的に旅券がその機能を果たすと解される。

旅券が無いときは、基本的に必要(な場合が多い。)。他の文書で国籍が証明されれば不要。

公安機関等の発行する、外国人側の入国・在留に関する証明書*4

4

パラレル的にいえば、外国人登録証明書も在留資格も、婚姻には、法的には不要。

外国人側の本国の公的機関の作成・交付する婚姻要件具備証明書*5

原則、要。

在職証明書*6

ロシア家族法の明文では無。

不要(入管の申請では有)

資力証明書(所得税納税証明書、住民税課税ないし納税証明書、源泉徴収票等)*7

ロシア家族法の明文では無。

不要(入管の申請では有)

当事者の証明写真*8

ロシア家族法の明文では無。

不要

外国人側の出生証明書(出生公証書)*9

不要

特に要件具備証明書がないときは、望ましい。しかし必須ではないので注意。

外国人側の独身証明書の類*10

日本人がロシアで婚姻する場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは、まず無いので問題にならない。*10

ロシア人が日本で婚姻する場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは頻繁にあるので問題になり、代替物として基本的に必要。

外国語の翻訳文*11

一般には必用になると解される。*11

翻訳者に指定は無いが、常に要求される(戸籍法施行規則63条の2)。但し、必須書類でない出生証明書の類はネゴで不要になり得る。

申述書*12

「婚姻要件具備証明書」で足りる。*12

要件具備証明書が出ないときに用いるのが原則。

日本人側の住民票*13

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも日本に住んでいない日本人もいるのである。

婚姻には不要(入管での日配の申請には通例、必要。)。

日本人側の戸籍謄本*13

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも戸籍なる制度は、国際的には無い国が普通である。戸籍なる制度があるという国は例外であり、普通の国は出生証明書程度しかない。

出生証明書については、上記参照。

当事者の「印鑑」や履歴や婚姻経緯の説明書等の実体を証する書類の類、その他の資料*14

14

不要。但し、受理照会事案では、請願書やスナップ写真等の情状資料や実体に係る資料を「法務局」に(自主的に)出すような事案はあり得る。


[注]
上記の表の「外国人」は当該国の法令にとっての外国人をいう。したがって、ロシアでロシア法で婚姻する場合の外国人とは日本人をいい、日本で日本法で婚姻する場合の外国人とはロシア人をいう。
[注]
本表は、婚姻登記(登録)ないし婚姻届出の場面のみを想定しており、その前段階とも言える「婚姻要件具備証明書」(これはロシア人側はロシアの政府機関から発行、日本人側は日本の政府機関から発行されるもので両者の区別に注意。)の発行のための書類は、混乱を防ぐため、「基本的には」射程に入れていない(若干、必要に応じて言及はしている。)。一般にインターネットではこの辺りが混同されており、収集つかない状況である。
[注]
渉外婚姻ないし渉外身分法の一般原則として、A国の本国政府へB国の公文書を提出する場合、B国の外務省の認証を取り付けたうえで、B国の在B国A国大使館(領事部)の認証も付けないと、A国本国では当該公文書を受付しない場面がしばしば存する。日本国内での扱いは別として、海外ではそういう国が原則だと考えてなるべく認証する趣旨で準備しておいたほうがよく、これはロシアでも当てはまる。では日本はどうか。建前は別として、日本の戸籍当局にせよ、入管にせよ、外国政府発行の文書に関しては、このような意味の認証の要否については、頗る「弾力的」である。ただ、入管についていえば、「認証」があっても濫りに信用しないという実質本位と思われる。
[注]
結局、多めに資料を用意するしかないであろう。実は、日本で国際結婚する場合も、資料は多めに用意しておくのが定石なのである。

*1 ロシアの場合、国外向けの普通の旅券以外に、「国内旅券」というものがある点が特殊である。ただ、どちらが日本政府にとってより重要で本質的かといえば、国外旅券であって、国内旅券については、たとえば、日本の入管は、基本的に、必用としない(たとえば、収容案件でも、国外旅券は入管が管理するが、国内旅券については、宅下げは認容されるのが通例である。)。しかし、国内旅券はロシア人にとって重要な身分証明機能を有し、たとえば、これがあれば、本人が入管に収容されていても、母国の親族が独身証明書([注]この場面では「婚姻要件具備証明書」ではない。)の類を入手することも可能になるが、裁決期限等との関係で1日を争うような危機的な場合が多い。なお、在特事案では、在日ロシア連邦大使館の対応は想定の範囲外である。

*2 在札幌ロシア連邦総領事館筋では、在日本ロシア連邦総領事館で、ロシア人側の婚姻要件具備証明書を発行する際に、前婚解消を証する書類に言及されているが、ロシアの法律事務所等のサイト(但し、英語。)を概観したところ、ロシアで婚姻する場合にもこれは無関係ではないようである。

*3 外国人側の旅券を要求することは、おそらく(日本の戸籍実務と同様)、ロシアの現場ないし実務の「慣行」にはなっていると「推定」できる。

*4 ロシアにおいて婚姻する場合の外国人側、すなわち日本人側の合法的在留に関しては、「ロシア入国ビザ」が要件として掲げられている(在札幌ロシア連邦総領事館筋)。他方、日本の(戸籍の)「実務」においては、本項目のような意味の証明も疎明も(婚姻の要件としては)要求されてはいない。但し、「法令」と「実務」と「現場」はそれぞれ異なることがある。常に「現場」が違うことは想定の範囲内である。

*5 ロシアにおいて婚姻する場合、日本人側の「婚姻要件具備証明書」は必要である。では、これは、市区町村発行でもよいか、日本の法務局発行のものでもよいか、それとも、在ロシア日本国大使館発行のものか、国によって、異なるので問題になる。在札幌ロシア連邦総領事館筋の見解では、日本の市区町村発行のものを援用しているが、日本の在外公館筋では、在外公館発行の説明が見られるので、これは法務局発行のものや、在外公館発行のものを否定する趣旨ではないと「推定」し得る。ただ、「現場」の裏づけを得ておくことは必要である。
それにしても、中国、フィリピン、タイと見てきて、ロシアの場合をみると、在外公館等の解釈は極めてシンプルに見える。たとえば、日本の在外公館で日本人側の婚姻要件具備証明書を発行する際の説明も、タイ等に比べれば、シンプルである。その理由の一つは、元々の手続の性質上の理由に加え、おそらく、ロシアと日本の婚姻という組み合わせは意外に少ないことも大きい。

*6 タイ等の他国の場合、結局、婚姻届に至る過程たる婚姻要件具備証明書の発行等の場面で、在職証明書等が問題になる場合もあるが、ロシアの場合、このような発想は明文的には見当たらない。ただ、渉外戸籍の場面(入管の場面は除く。)で在職証明書等を問題にするのは「例外」なのであって、「原則」と「例外」をはっきりさせることは重要であろう。

*7 *6と同じことがいえる。

*8 スナップ写真等が前面に出てくるのは、渉外戸籍というよりは、出入国管理の場面であることが多い。

*9 ロシアで婚姻する場合、少なくとも日本人側について「出生証明書」は、通常、問題にならない。なお、日本の場合、「出生証明書」とは、通常、「出生届(書)記載事項証明書」や「出生届受理証明書」をいう。帰化許可申請等で出てくる場合が多い。日本には「出生証明書」的な文書が無いというわけではない。

*10 一般に、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」が全く混同され、デタラメな用語法で用いられているので、敢えてこの項目を掲げてみた。まず、日本の法制度の場合、「国際結婚」の場面で、「婚姻要件具備証明書」と区別された、別個独立で、内容が異なるような意味の「独身証明書」は存しない(敢えていえば、戸籍謄本がそれだともいえるが。)。客観的に同一の証明書を「婚姻要件具備証明書」や「独身証明書」と言われるが、正式には「婚姻要件具備証明書」という。したがって、「国際結婚」の場面で、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」の二枚を下さい、と法務局(や在外公館や市区町村)にお願いしても、二枚は出てこない(※結婚相談業者などに提出する「独身証明書」を除く。)。
 次に、外国においては、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」の二つが分離している国もある。たとえば、在日外国公館で「婚姻要件具備証明書」(の類。標題は様々。)を申請する場合に、本国政府機関発行の「独身証明書」(の類。標題は様々。)が必要な国がその例である。このような場面の本国政府機関発行の「独身証明書」(の類。標題は様々。)は、そのままでは、つまりたとえば在日外国公館の「婚姻要件具備証明書」(の類。標題は様々。)が無いと、日本の戸籍実務でいうところの「婚姻要件具備証明書」とは認容されない場合があり得る。その意味では、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」は異なる、というわけである。
 この点、筆者の近時の知見で、ロシア政府の「Department of Internal Affairs」発行の一種の独身証明書を翻訳したことがあり、それは収容案件の具備証明書無しの事案で独身証明書として機能している。

*11 外国語とは、ロシア側では「日本語」、日本側では「ロシア語」ということになる。在札幌ロシア連邦総領事館筋では、翻訳証明の業務を行っているとされる。一般に、翻訳文につき、認証が要るのか、また、それはどのような機関の認証なのか、は国によって千差万別であるから、事前に「現場」の裏づけを得ておかねばならない。

*12 日本で婚姻する場合の実務でいう「申述書」は、本来的には、要件具備証明書の欠缺の事案を想定されている。ただ、私見では、近時、この「申述書」の役割は、従来の市販の概説書に書かれているような役割以上の機能を有すると解される。

*13 ここでは日本人側の婚姻要件具備証明書を申請するとき(その場合には戸籍謄本は必要。)の話をしているわけではないので、混同に注意。なお住民票が不要であることにつき、「問答式国際家族法の実務」118ノ16(追録38号まで)も参照に値する。ただ、婚姻要件具備証明書の記載事項では足りない場合に、なお、戸籍謄本等の戸籍の証明書を用意する意義がある場合はありうる。
 なお、中国の身分管理制度のことを「戸籍」という場合があるが、正確には「戸籍類似」の制度であって、戸籍そのものではないとみるのが一般と解される(山田鐐一著「国際私法[3版]」419頁)は「戸籍類似」とする。)。ちなみに、近時、韓国の戸籍制度が変更になるので、留意しておきたい。

*14 一般には不要であって、婚姻の実体(実態)関係を証明ないし疎明する資料は、実務ないし現場的には、入管ないし査証申請の場面で問題になることが多い。
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