フィリピン人との国際結婚の手続
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*フィリピン人国際結婚手続き3

Q:フィリピンで日本人とフィリピン人がフィリピン法で創設的に婚姻する場合の「書類」(等)と、日本での日本法で日本人とフィリピン人が創設的婚姻届する場合の「書類」(等)の場合と比較して下さい。(試論)2005Aug15
A: フィリピンの場合、便宜上、地方身分登録官と婚姻挙行官へ出すものを一括して掲げる。また、先に中国法との比較も行っている関係から、できるだけ、中国法との対比で使用した体裁を転用してみた。

 

フィリピンで日本人とフィリピン人がフィリピン法で創設的に婚姻する場合の「書類」

日本で日本人とフィリピン人が日本法で創設的に婚姻する場合の「書類」

1)出生証明書(原本又は認証付き謄本)、又は(2)洗礼証明書(原本又は認証付き謄本)、又は(3)当事者等の宣誓供述書及び、居住証明書又は宣誓書*1

(家族法12条)。

フィリピン人については通常は不要であり、必須ではない。外国人登録証明書も法的には不要。日本人については本籍地以外に出すときは、通例、戸籍謄本。また、日本人については運転免許証等。

地方身分登録官発行の婚姻許可証*2

有(家族法32号)

通例、不要。「地方身分登録官発行の婚姻許可証」とは、基本的には、フィリピン国内で使用することが想定されたものである。また、仮に在特事案で要件具備証明書が欠けるときでも、この書類が機能し得る場面は通例、無いであろう。

婚姻許可書発行に対する申請書*2

有(家族法11条)

無(そのような概念は無い。但し、日本法の「申述書」の概念はこれに近く、比較法的に興味深い。)。

前婚解消を証する書類(配偶者の死亡証明書、又は離婚裁判の判決書、又は前婚の取消の判決書、又は前婚の無効の判決書、又は宣誓供述書)*3

有(家族法13条)

フィリピン人については具備証明書があれば不要。無いときは、「前婚解消を証する書類」等の身分関係の実体を証する書類は、これに限らず、「あるほうが望ましい」。なお、日本人については本籍地以外に出すときでも(日本の役所に対しては)、通例、戸籍謄本で足りる。

婚前健康診断証明*4

外国人側の旅券等の身分証明書*5

5

原則、要

外国人側の国籍証明書*6

6

旅券が無いときは、基本的に必要(な場合が多い。)。他の文書で国籍が証明されれば不要。

公安機関等の発行する、外国人側の入国・在留に関する証明書*7

7

パラレル的にいえば、外国人登録証明書も在留資格も、婚姻には、法的には不要。

外国人側の本国の公的機関の作成・交付する婚姻要件具備証明書*8

要(家族法21条)

原則、要。

在職証明書*9

不要

不要(入管の申請では有)

資力証明書(所得税納税証明書、住民税課税ないし納税証明書、源泉徴収票等)*9

不要

不要(入管の申請では有)

当事者の証明写真*9

家族法では必須とされていない。

不要

外国人側の出生証明書(出生公証書)*10

不要

特に要件具備証明書がないときは、望ましい。しかし必須ではないので注意。

外国人側の独身証明書の類*11

日本人がフィリピンで婚姻する場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは、まず無いので問題にならない。

フィリピン人が日本で婚姻する場合に婚姻要件具備証明書が出ないことは頻繁にあるので問題になり、代替物として基本的に必要。

外国語の翻訳文

家族法では必須とされていない。

翻訳者に指定は無いが、常に要求される(戸籍法施行規則63条の2)。但し、必須書類でない出生証明書の類はネゴで不要になり得る。

申述書

日本法独自の概念で基本的には問題にならない。

要件具備証明書が出ないときに用いるのが原則。

日本人側の住民票*12

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも日本に住んでいない日本人もいるのである。

婚姻には不要(入管での日配の申請には通例、必要。)。

日本人側の戸籍謄本*12

要求した場合、本来、不要なものを要求している場合が多い。そもそも戸籍なる制度は、国際的には無い国が普通である。戸籍なる制度があるという国は特殊であり、普通の国は出生証明書程度しかない。

出生証明書については、上記参照。

カウンセリング(年齢要件が一方のみに適用されるときでも、当事者双方に必要。)を受けた証明書

要(家族法16条)。

不要。

当事者の「印鑑」や履歴や婚姻経緯の説明書等の実体を証する書類の類、その他、教会関連の資料*13

13

不要。但し、受理照会事案では、請願書やスナップ写真等の情状資料や実体に係る資料を「法務局」に(自主的に)出すような事案はあり得る。


[注]
上記の表の「外国人」は当該国の法令にとっての外国人をいう。したがって、フィリピンでフィリピン法で婚姻する場合の外国人とは日本人をいい、日本で日本法で婚姻する場合の外国人とはフィリピン人をいう。
[注]
本表は、婚姻登記(登録)ないし婚姻届出の場面のみを想定しており、その前段階とも言える「婚姻要件具備証明書」(これはフィリピン人側はフィリピンの政府機関から発行、日本人側は日本の政府機関から発行されるもので両者の区別に注意。)の発行のための書類は、混乱を防ぐため、基本的に射程に入れていない。一般にインターネットではこの辺りが混同されており、収集つかない状況である。
[注]
渉外婚姻ないし渉外身分法の一般原則として、A国の本国政府へB国の公文書を提出する場合、B国の外務省の認証を取り付けたうえで、B国の在B国A国大使館(領事部)の認証も付けないと、A国本国では当該公文書を受付しない場面がしばしば存する。日本国内での扱いは別として、海外ではそういう国が原則だと考えてなるべく認証する趣旨で準備しておいたほうがよく、これはフィリピンでも当てはまる。では日本はどうか。建前は別として、日本の戸籍当局にせよ、入管にせよ、外国政府発行の文書に関しては、このような意味の認証の要否については、頗る「弾力的」である。ただ、入管についていえば、「認証」があっても濫りに信用しないという実質本位と思われる。
[注]
フィリピンで日本人が婚姻する場合、しばしば意味不明な資料を要求されたという話を聞くが、法文はそんなに煩雑なことは要求していないのに、何故か、戸籍官吏に運用させると、煩雑な運用がなされ、あれこれと不要な書類を要求する傾向にあるのは、おそらく、「日比共通」である。したがって、もし、フィリピンで意味不明な資料を要求された場合、本当に必要なのか、疑う価値がある。また賄賂目当てに不要な書類を要求する場合もないとはいえず、フィリピンでの婚姻には困難がつきまとう。建前と現実が乖離し、これでは結局、多めに資料を用意するしかないであろう。実は、日本で国際結婚する場合も、資料は多めに用意しておくのが定石なのである。
 なお以上のような状況のため、日本の実務書でもインターネットでも、何が必要な書類かが混乱しているのが現状である。実務書も加除式程度のものは悉く見てはみたが、今回、自分で細かく調べたあとに、いくつかの実務書を見たところ、書いている人もよく分からないまま書いている本が複数あることを発見したりもした。当サイトはここまで細かく分析した者は前例がないであろうと思われるほどに分析を試みてはみたが、なお読者の公正な批評を賜りたい。
 ちなみに、フィリピン政府のFAQでも以下のとおりである。
NOTE: other Churches/Parishes may require some other documents and/or seminars not specified below. To be sure, inquire at the parish office of the church you wish to be married in.

*1 家族法12条が地方身分登録官における婚姻許可証の発行の際、出生証明書を要求する立法趣旨は、基本的には婚姻年齢を確認する趣旨と解される。したがって、地方身分登録官が、婚姻当事者の外形から見て婚姻可能な年齢に達していると確信したときには、一定の条件で、この出生証明書等の提出が不要になっている(12条。奥田安弘他訳「フィリピン家族法」83頁。)。たとえば、高齢での婚姻が考えられる。

*2 かつての中国の(旧)婚姻登記管理条例においては、中国で婚姻する場合、中国人側につき、勤務先等発行の婚姻状況証明(一種の婚姻要件具備証明と解される。)が必要であった(が現在では、時代遅れであるとして、最近になって廃止されている。)。フィリピンの場合、これと同じではないものの、地方身分登録官が発行する「婚姻許可証」はこれと類似する側面もあると解され、興味深い。
 なお、日本政府への報告的婚姻届の際に「「婚姻許可証」および「同申請書」の写しが婚姻届提出の際必要ですのでコピーをとり保管」せよという「学説」があるが(在フィリピン日本大使館)、本来不要なものを要求している。「婚姻許可証」および「同申請書」も、コピーを取り忘れたらどうされるつもりなのか。日本での「創設的婚姻届」ですらそのようなものは要らないのに、報告的婚姻届にそのようなものを要求する趣旨は、偽装婚等の防止にあるのであろう。しかし、「形式的審査権限」が建前ではなかったのか。ゆえに、その役割は、「実質的審査権限」を有すると解される、後々の入管での認定、在外公館の査証申請、空港での上陸許可申請等の場面で行うのが筋とも思われるのである。

*3 フィリピン法特有の表現になっており、特に、無効や取消の意味は日本法と大きく異なることに留意が必要である。なお、この家族法13条の中に協議離婚の文言は見えない。さらに、フィリピンの法学者(研究者)の著書では離婚判決はフィリピンで「承認される場合に限る」と注釈されている(奥田安弘他訳「フィリピン家族法」83頁)ことに注意が必要である。
 なお、ちなみに、死別の場合の証明書は、日本の戸籍法制度では「死亡届受理証明書」や「死亡届(書)記載事項証明書」が該当する。

*4 一定の疾病による禁止規定があるにもかかわらず(家族法36条、45条5号6号)、家族法ではかつての中国のような義務的「婚前健康診断」は存しない。

*5 外国人側の旅券を要求することは、おそらく(日本の戸籍実務と同様)、フィリピンの現場ないし実務の「慣行」にはなっていると「推定」できる。しかし、旅券が絶対不可欠とは言えない。なぜなら、無国籍者や難民が「フィリピン」で婚姻することも想定されているからである(奥田安弘他訳「フィリピン家族法」91頁)。ちなみに、筆者の場合、難民認定申請も携わる等、旅券が無い婚姻の人権救済などは日常である。なお、使用頻度は低いが、「難民については、その属人法は住所を有する国の法律とし、住所を有しないときは、居所を有する国の法律とするものとする。」(難民の地位に関する条約12条1項)。
 なお、付言するに、在特事案につき、「現在」のところ、在日比国大使館は、比人の「婚姻要件具備証明書」の発行につき、比人の有効な旅券の存在を要件とするものではない。これは最近、各国につき、外交的影響があって、流動的なテーマだが、仮に要求したら、基本的にはタイや中国の場合と同様に処理すれば足りる。在特案件に関しては、入管の出頭申告等の窓口に頻繁に来るような(特殊な)実務家が一番知っているとしかいいようがない(市販の文献は全く当てにならない。)。その分野に強いはずの実務家でも、文献では現在の運用とは違うことが書かれているが、その大半は、この分野の変動がそれだけ激しく、市販の本では対応できないからであろう。なお、「加除式」の本でも「現場」に追いつけていないので、注意が必要である。

*6 フィリピン法でも、外国人側の「実質的」成立要件は、その本国法に拠らねばならない(フィリピン「民法」15条の「解釈」。奥田安弘他訳「フィリピン家族法」91頁。)ので、その国籍を特定しなければならず、外国人の国籍の証明(書)は必要である(なお、レジストラ111・220。)。ただ、外国人側の要件具備証明書に国籍を証する記載があると認められれば、別途の国籍証明書は不要と解される(家族法21条)。

*7 「The applicants, their parents or guardians shall not be required to exhibit their residence certificates in any formality in connection with the securing of the marriage license. (59a) 」、という規定が存する(家族法11条2項)。

*8 「フィリピンにおいて外国人がフィリピン人と婚姻する場合には、外国人当事者は在フィリピンの当該国在外公館が発行した「婚姻要件具備証明書」を提出すること」という「学説」が存する(在フィリピン日本国大使館)。これは、フィリピン家族法21条の文理解釈で「issued by their respective diplomatic or consular officials.」とあるので、通説的見解であろう。ただ、法解釈である以上、常に必ずそうだとは言えない。「文理解釈」だけではなく、「勿論解釈」もあるかもしれない。たとえば、仮に、であるが、日本の法務局発行の要件具備証明書に、まず、日本の外務省の認証を付け、次に、在日の比国大使館の認証を付け、最後に、在比の日本大使館の認証を付けたらどうか。「issued」と言えるか。そういう解釈は比国政府の裁量なのである。また、全く逆に、在外公館の発行の証明書では認容されず、常に母国にある政府機関発行のものたることを要求する国もあるわけである。
 知識として以下を押さえられたい。
そもそも、日本政府側が発行する婚姻要件具備証明書には、市区町村発行のもの、法務局発行のもの、在外公館発行のもの、と種類がある。日本法では、どれも法的には婚姻の資料として有効であるが、外国政府がどれを認容するのかは別論であって、曰く「中国の場合には,法務局又は地方法務局及びその支局で発行したものでなければ,認めていない。」との見解が存する(東京法務局民事行政部戸籍課)。他方、外務省の在外公館はそうは解していないようである。しかし、これもまた中国政府は、その回答の時期・地域・機関・たまたま担当した登記官個人等で変動するのではないかと思われるのである。フィリピンの実務も常に変動してゆくであろう。
なお、これに対し、日本法の手続においては、ある外国政府発行の「婚姻要件具備証明書」(その呼称は重要ではなく、文書の標題は、国により様々である。)が、在日大使館発行なのか、本国の法務省の類が発行なのか、市区町村が発行なのか、それ自体が決定的なのではない。一般には、在日の外国公館発行のものを用意する類型が多いだけのことである。但し、「婚姻要件具備証明書」として認容するか否かは、日本でも一定の先例が存し、認めないものと認めるものとが存在することも否定できない。もっとも、具備証明書を発行する国ばかりではないわけで、その種のものを発行するだけマシだと解するのが相当である。通説的には、戸籍官吏は「外形理論」的発想により形式的審査権限に制約されるとされるが、究極の場合、全く資料のないに等しい案件を、形式的という建前を維持しながら実質的に審査しなければならない。
最後に、「具備証明書を発行する国ばかりではない」と書いたので、気付いたことだが、比国では、具備証明書を発行しない国はどうするのであろうか。おそらく「婚姻要件具備証明書」(a certificate of legal capacity to contract marriage, issued by their respective diplomatic or consular officials)を弾力的に解釈するのであろうと推定できよう。

*9 この種のものは「現場」の誤解等で、どこの国でも、惹起する問題である。もっとも、国によっては、法的に本当に必要な場合もあって、侮れない。現在不要な国でも必要になることもあり得る。

*10 フィリピンで婚姻する場合、少なくとも日本人側について「出生証明書」は、通常、問題にならない。なお、日本の場合、「出生証明書」とは、通常、「出生届(書)記載事項証明書」や「出生届受理証明書」をいう。帰化許可申請等で出てくる場合が多い。日本には「出生証明書」的な文書が無いというわけではない。

*11 一般に、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」が全く混同され、デタラメな用語法で用いられているので、敢えてこの項目を掲げてみた。まず、日本の法制度の場合、「婚姻要件具備証明書」と区別された、別個独立で、内容が異なるような意味の「独身証明書」は存しない(敢えていえば、戸籍謄本がそれだともいえるが。)。客観的に同一の証明書を「婚姻要件具備証明書」や「独身証明書」と言われるが、正式には「婚姻要件具備証明書」という。したがって、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」の二枚を下さい、と法務局にお願いしても、二枚は出てこない。
 次に、外国においては、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」の二つが分離している国もある。たとえば、在日外国公館で「婚姻要件具備証明書」(の類。標題は様々。)を申請する場合に、本国政府機関発行の「独身証明書」(の類。標題は様々。)が必要な国がその例である。このような場面の本国政府機関発行の「独身証明書」(の類。標題は様々。)は、そのままでは、つまりたとえば在日外国公館の「婚姻要件具備証明書」(の類。標題は様々。)が無いと、日本の戸籍実務でいうところの「婚姻要件具備証明書」とは認容されない場合があり得る。その意味では、「婚姻要件具備証明書」と「独身証明書」は異なる、というわけである。
 したがって、たとえば、在フィリピン日本大使館は、「婚姻要件具備証明書(いわゆる独身証明)」などと称して、両者を同一視する説き方をするが、これは日本政府が発行する当該証明書については妥当しても、外国政府発行の当該類型の証明書には妥当しない。また、これに限らず、在外公館の説く説明は、通例、海外で婚姻する場面を指しており、日本で婚姻する場面は通例、射程ではない。これを混同してはならない。

*12 ここでは日本人側の婚姻要件具備証明書を申請するとき(その場合には戸籍謄本は必要。)の話をしているわけではないので、混同に注意。なお住民票が不要であることにつき、「問答式国際家族法の実務」118ノ16(追録38号まで)も参照に値する。

*13 「日本の印鑑の持参を婚姻許可証発行の条件としているところもあります。」という認識がある(在フィリピン日本大使館)。最近は、日本の行政も国際化してきたのか、「ハンコ」を盲信するような「風習」は廃れつつあるように思うが、フィリピンの行政が「ハンコ」を要求する(ことがある)というのは、頗る奇妙である。ハンコなど日本の法的には、基本的には、「署名」か、「記名押印」か、の場面で問題になるだけで、ハンコそれ自体が独立して重要になる場面は極めて限定される。仮に「ハンコ」を要求するなら、それ以外に何を要求されてもおかしくは無い。たとえば、かつての中国のように婚前健康診断とその証明書を要求されてもおかしくない。それほど奇妙である。ただ、ハンコについては、日本の役所での届出では何かと持参していると重宝するので、携行しているほうが望ましいことも否定できない。
 そこで、婚姻挙行官を教会の牧師等とした場合の、参考となりそうなものをフィリピン政府のFAQから以下に挙げておく。全体にカトリック教会関連の視点が多い。なお、NOTE: other Churches/Parishes may require some other documents and/or seminars not specified below. To be sure, inquire at the parish office of the church you wish to be married in. である。したがって、これら以外に何を要求されるのかは、個々の婚姻挙行官の裁量である(なお、家族法6条乃至8条)。また、「現場」では、必要とされないことも当然あり得る。なお、念のため、付言するが、家族法7条では、婚姻挙行官は教会関係者には限定されておらず、裁判官や市町村長(フィリピン地方自治法による。)、船長や軍の指揮官等も射程に入るし、また、牧師等の教会関係者なら誰でもよいわけではないうえ、教会等で行うときは、一方当事者の所属を要する(家族法7条2号。奥田安弘他訳「フィリピン家族法」76頁。)。

--GENERAL CHURCH WEDDING REQUIREMENTS (抜粋)--
■Baptismal and Confirmation Certificates
■A dispensation・・・カトリックの概念とすれば、特別免除許可証の類。
■Canonical Interview(教会法のインタビュー)
■Pre-Marriage Seminar・・・家族法所定のカウンセリングとは別途にも解しうる。
■Picture each from the bride and the groom
■List of names and addresses of principal sponsors(Church policy requires at least a pair of sponsors and, ideally, a maximum of six sponsors.)
■FOR WIDOW OR WIDOWER: A copy of the death certificate of the former spouse must be presented to the parish office.


--CHURCH REQUIREMENTS FOR MARRIAGE WITH FOREIGNERS (抜粋) --
■Clearance: Foreigners who wish to apply for marriage with a Filipino citizen must first secure clearance from the Archdiocesan Chancery Office at the Arzobispado de Manila, 121 Arzobispo St., Intramuros, Manila (near Manila Cathedral). This clearance must be submitted to the Parish Office upon filing of application for the wedding. ・・・とのことである。
■Baptismal Certificate: ・・・It must have the annotation: "FOR MARRIAGE PURPOSE ONLY."
■Certification of freedom to marry: This can be obtained from the Catholic Pastor, Protestant Minister or the Embassy of the foreigner.・・・奥が深い。
■Military clearance: This has to be secured from the base military authorities specifically from the immediate Commanding Offices ONLY if any of the parties belong to the military.・・・やはり、中国法と同様、軍人の場合の制約が存するということになろう。
■For Non-Catholic: A certification of his/her legal capacity to marry. Has to be obtained from his/her embassy or from the country of origin.・・・これは婚姻要件具備証明書のことである。ただ、「For Non-Catholic」とあるが、仮に日本人が「Catholic」であったとしても、家族法21条の場面に関していうのであれば、婚姻要件具備証明書は必要と解するべきである。
■Marriage banns(ママ。教会法の用語のようであり、「banns」で正しいようである。): These have to be posted for three consecutive Sundays.・・・家族法17条の公告とは別である。
■Dispensation: A dispensation from the impediment of mixed marriage/religion (Disparitas Cultas) has to be obtained if necessary.・・・ミックスマリッジ等の婚姻障碍からの特別免除。
■Widow and Widower: The death certificate of the former spouse has to be presented to the office.・・・日本の戸籍法制度では「死亡届受理証明書」や「死亡届(書)記載事項証明書」が該当する。
■Divorced parties: A document of the Declaration of Nullity promulgated by the Catholic Memorial Tribunal or a certification from the Bishop of the party that he/she is free to marry has to be presented to the Archdiocesan Chancery Office for authentication and clearance.
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