中国人との国際結婚の手続き
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*中国人国際結婚手続き4

Q:中国の婚姻法ないし国際結婚の手続での無効・取消と、日本民法ないし国際結婚の手続での無効・取消について比較して下さい。
A:(試論)

 

中国法の以前の法令と解釈(旧婚姻法、旧婚姻登記管理条例等)*1

中国法の近時の法令と解釈(新[修正]婚姻法、新婚姻登記条例、最高人民法院・若干問題的解釈)*2

日本法(民法)*3

国際結婚の意思の欠缺*4

無効

無効(解釈)

無効(民法7421号、)

国際結婚の意思の瑕疵(国際結婚における人身売買、強迫、欺罔等)*5

無効

強迫は取消(修正婚姻法11条)。詐欺は論点。

瑕疵の程度に応じ、取消(民法7471項)又は無効(民法7421号)

重婚*6

無効

無効(修正婚姻法101号)

取消(民法7441項)

不適齢婚*7

原則、無効

無効(修正婚姻法104号)

取消(民法7441項、745条)

近親婚*8

無効

無効(修正婚姻法102号)

取消(民法7441項)

結婚禁止疾病規定に違反する国際結婚*9

原則、無効

無効(修正婚姻法103号)

(有効。そもそも禁止規定なし。)

未登記婚*10

無効

無効

無効(民法7422号本文)

結婚登記の詐取等の是正手続*11

登記を取り消し、無効を宣告する。

無効申請権者等につき旧法より詳細な手続きが表明されている(最高人民法院・若干問題的解釈)。

偽装結婚のような場面は、婚姻無効確認の訴を要する。

無効の効果*12

遡及的無効

「初めから無効」(修正婚姻法12条)

遡及効ないし原始的に無効

取消の効果*13

13

「初めから無効」(修正婚姻法12条)

遡及的に無効ではなく、いわゆる将来効である(民法7481項)。

待婚期間内の国際結婚*14

(有効。そもそも禁止規定なし。)

(有効。そもそも禁止規定なし。)

取消(民法7441項、746条)


*1 中国法の以前の発想においては、無効と取消を区別しない傾向がみられるが、旧法下でも議論はあったという(加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」103頁)。

*2 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」96頁。新法(修正婚姻法)下では、いわば職権主義ないし「パターナリズム」が働く場面を無効とし、当事者主義ないし自己決定権の働く場面を取り消しとするかのような見解も存する(前掲書103頁)。しかし、この区別も論点と解される(戸籍時報562、75頁上段。)。他方、日本法では、強度の強迫で全く意思の自由を喪失したときは、意思欠缺で「無効」と解する(通説)。

*3 日本法で「無効」・「取消」は民事法でも非常に様々な意味合いで用いられるが、一般には、「無効」はそのままでは無効に他ならないが、「取消」はそのままでは有効である点が異なる。なお、私が学生の頃に読んだ民法の基本書に「取消の場合には・・・有効になることがある」と記載してあったが(Sシリーズ民法1)、取消とは元々、一応有効なのであって、有効に確定するというのが正確である。

*4 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」88頁(旧法)、98頁(修正法)。

*5 修正婚姻法11条の「強迫とは、・・・生命・身体・名誉・財産等の損害を加えると脅」すような「状況を指す」(最高人民法院・若干問題的解釈10条1項。加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」102頁)ので、国際結婚の手続における人身売買行為の多くは通例、この「強迫」の射程に入ると解される。他方、国際結婚におけるいわゆる結婚詐欺(財産犯と区別するには「詐欺結婚」という。)の類は、日本民法の民法総則的発想では、結婚意思が欺罔に因る錯誤に因り欠缺した場合と解すれば、結婚意思欠缺で無効ともいえるし、取り消しともいえるわけであるが(二重効)、親族法には747条1項に特則が存するので、一般には、取消であろう。ちなみに、国際結婚で、結婚詐欺はどの程度存在するのであろうか。これは統計がないので、何ともいえないが、被害に遭う可能性を下げる方法はある。ただ、実務をしていて思うのは、詐欺の類はそれほど多くはなく、いくつかの留意点を実行していれば普通は国際結婚は問題がないということである。
 この点、この詐欺の場面で中国の研究者が「詐欺・・・は取消原因とすべき」と主張される(戸籍時報562、75頁上段)のは、日本法でいえば、いわゆる取消と無効の「二重効」のことを問題にしているともいえる。けだし「詐欺は(動機の)錯誤を媒介(と)しているから、詐欺による取消のほかに、錯誤による無効の主張もすることができ」るからである(Sシリーズ民法1[2版]134頁。()内は筆者注。)。しかし、中国法では、取消にした場合に独自の手続が存するので、二重効の主張を認容するかも含め、法政策的判断で決まることになるであろう。この場合、実体法の解釈は手続法の内容や解釈で決まることになる。
 なお、日本民法の742条1号の無効と747条1項の取消は、民法の意思表示」の一般法理の特別法と解される(なお、新版注釈民法21、298頁。)。
 なお、実際の国際結婚の手続においては、国際結婚の解消の場面で、たとえ国際結婚の成立の段階で、欺罔等があっても、以上のような解釈はほとんど問題にならず、多くは、協議離婚、あるいは裁判離婚等で行われている。

*6 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」88頁(旧法)、97頁(修正法)。日本では、重婚は日本人同士の結婚の場合は極めて稀であるが、外国人と日本人の国際結婚の手続の場合、実務上の実感として、頗る多い。市区町村で国際結婚が受理されたから安心などという次元ではない。市区町村は国際結婚の受理に際しては、当事者が不利益を負うかどうかなどは基本的に顧慮せず、日々淡々と、仕事をこなしているだけである。不利益を負うには当事者であり、その効果は、民事法では「無効」や「取消」であり、刑事法では「犯罪」である(「配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。」。日本刑法184条)ことに警鐘を鳴らしたい。

*7 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」88頁(旧法)、97頁(修正法)。日本や中国以外の国では、「児童婚」といって、日本では子どもとして扱われるような年齢で結婚を認容する国が存するが、日本の国際私法の解釈では、そのような国の当該規定は、公序良俗(法例33条)に反して、適用されない(通説)。なお、法例33条の公序は、民法90条の公序よりも厳格で範囲が狭い(レジストラ111、49頁)。
 実際の国際結婚の手続においては、国際結婚が成立すればいいわけではなく、その後、入国管理局で在留資格を許可されなければならない場合、年齢差が大きいと、審査が事実上、厳しくなる場合があるという留意点もある(※入国管理局は公式にはそのようなことは当然ながら認めてはいない。)。

*8 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」89頁(旧法)、97頁(修正法)。日本と中国では近親婚の範囲が異なる。その根拠として近親婚は、「双方の同一の病原因が結合し・・・遺伝を通じて子孫に影響を及ぼす。」という中国の研究者の見解が存する(戸籍時報562、88頁)。その見地からは国際結婚は科学的に望ましいことになろう。

*9 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」89頁(旧法)、97頁(修正法)。日本では、民法には疾病を理由に国際結婚そのものが制約されることはないが、外国人は別途の考慮が必要である。すなわち、入管法5条により、上陸を拒否される場合が存する。民法や戸籍法が、基本的に日本人を対象に立法されているのに対し、入管法は外国人対象なので、これに限らず、著しく公安重視、人権制約的立法となっており、日本の法令全体でみると異質な感さえある。各種資格試験で入管法があまり問題にならないのは不思議であったが、これは試験問題を作成する側に入管法の知識または経験がないためであるということが最近分かった。日本では、入管法あるいは国際結婚の手続に係る法律に詳しいのは、入国管理局等の一部職員(実は全部ではない。)と民間の一部の法律実務家だけにほぼ限られる。したがって、研究者らしき存在があまり無いので、民間の実務家は自ら、法解釈学を発展させねばならない。

*10 但し、修正婚姻法では、未登記結婚を直截に絶対無効とするのではなく、未登記結婚を事後的に登記した場合、遡及的に有効とするとの扱いがみられる(修正婚姻法8条後段。最高人民法院・若干問題解釈4条。加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」73頁。)。

*11 「登記を取り消し、・・・無効を宣告する。」(加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」90頁)とあるが、日本民法的発想では、国際結婚の手続における結婚登記の騙取の場面は、結婚意思の欠缺と解するのが相当であるから、登記は手続的に「取消」すのだとしても、国際結婚は取り消し(して遡及的に無効)なのではなく、原始的に無効とみることになろう。
 なお、中国法には「当然無効」と「宣告無効」の区別もあって(加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」91頁)、一見、日本法の無効・取消の区別に似ているようだが、その内実は異なる。むしろ、結婚無効につき、「確認の訴」なのか「形成の訴」なのかの論点(新版注釈民法21、307頁)に似た感もある。
 日本法でも取消・無効の識別は便宜的な区別に過ぎない側面もあるので(民法総則の基本書の「法律行為」の章を参照されたい。)、外国法でも同様な場合が多いと解される。たとえば、日本民法では、取り消しと無効の二重効が生じる場合もある。また、たとえば、中国の家族法研究者の発言に「取消と無効を区別すべきか否かはなお問題であ」るとの見解が表明されている(「戸籍時報」562、75頁)。さらに、フィリピン法では、結婚無効を日本法の離婚の意味で用いる場合があり、国際結婚の解消の場面で関わってくる。
 なお、新法での最高人民法院・若干問題的解釈7条等に旧法下よりも詳しい手続が規定されたが、これらはその内容をみると、結婚無効時における無効の手続法の場面において、いわば職権主義から当事者主義への移行を表すものと解することも可能であろう。

*12 加藤美穂子著「詳解中国婚姻・離婚法」93頁。

*13 旧法では「無効と取消しの区別はない」(岩井伸晃著「中国家族法と関係諸制度」31頁。)。

*14 待婚期間の有無、期間の長さは国により異なる。実務上は、これにより、国際結婚の解消と国際結婚の成立の場面において、「法の抜け穴」的な(合法的)措置が可能な場合もある。
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